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館内での展示

2013年7月23日

宇宙エレベータープロジェクト「近未来の宇宙輸送とその技術」展(7/22-10/31)

はじめに
1957年11月に地球から初めて宇宙空間へ生物が飛び出しました。それは、ソ連が打ち上げたスプートニク2号に乗せられた雌のライカ犬です。(参照1) その後、1961年4月に世界初の有人宇宙飛行がソ連のユーリ・A・ガガーリン中尉(飛行中に少佐に昇進)により成功しました。(参照2) そして、50年後の現在では誰でもが気軽に宇宙空間に行け、無重力体験や宇宙ステーションにも滞在できるようになりました。(でも、その費用は高額なので誰でもと言う訳には・・・)(参照3) しかし、子供の頃に抱いた宇宙へ行く夢は、かなり現実的になりました。
 そこで、今回の展示では「近未来の宇宙輸送とその技術」をテーマに、宇宙空間まで行く現在から近未来までの輸送技術や民間企業の宇宙旅行を紹介します。一方、JAXA(独立行政法人 宇宙航空研究開発機構)から提供された資料などを基にH-IIA/Bロケットや宇宙ステーションなど日本の宇宙開発の技術をパネル紹介しています。また、映画「宇宙兄弟」でも主人公が着用していた、スペースシャトルなどで使用されているオレンジ色の宇宙服なども8月10日まで展示しています。 そして、未来の宇宙輸送技術の一つである宇宙エレベーターの紹介もしています。本学の工学部機械工学科の江上研究室と神奈川大学 宇宙エレベータープロジェクトの学生達が基礎技術の開発を目的に日々研究し、新しい実験機体を製作して、毎年開催されている宇宙エレベーター技術競技会(宇宙エレベーター協会主催)において他の大学や社会人チームと挑戦している成果なども展示しています。 さらに、本学の建築学科で宇宙空間における居住空間の研究をしている報告など盛り沢山な内容をパネルで紹介します。
 夜空を見上げて星々が瞬いているのを見たら、宇宙に飛び出す技術も展示会場で見て下さい。

アンケートにご協力ください。
ご回答いただいた方の中から抽選で粗品を進呈します。
http://www.kanagawa-u.ac.jp/library/news/2013/10/005876/

展示内容と背景

 宇宙への輸送システムの確立には多くの犠牲と苦難の長い歴史があり、最新のシステムとしてアメリカではデルタIV、アンタレスロケット、スペースシャトル(2011年7月で退役)など、ロシアではソユーズやプロトン、EUではアリアンロケットやベガロケット、中国では長征ロケットや神舟ロケットなどが有名ですが、日本ではH-IIBロケットが国際宇宙ステーションへの物資の自動補給(こうのとり)や人工衛星の打上げをしており、現在は後継機のイプシロンロケットを開発しています。(参照4)
 しかし、今の技術で宇宙に物を運ぶ方法はロケットしかありません。しかも、日本の高い技術を結集したイプシロンロケットでも地球周回低軌道に1.2トンの荷物(衛星など)を運ぶ為には、全質量91トンのロケットが必要で1.3%程度の運搬効率であり、その費用も約38億円といわれています。(参照5)
 宇宙旅行に必要な有人打ち上げロケットはアメリカ、ロシア、中国だけで、宇宙飛行士は地球の重力を脱する第2宇宙速度(または脱出速度)(参照6)約11.2km/s(時速約40270km)の激しい状況に耐える高度な訓練を行いますから、一般の人が簡単に宇宙へ行けません。(参照7)(休憩:筑波宇宙センターでは擬似訓練がありますよ。参照8)
 また、宇宙で身を守るのは宇宙服です。NASAでは船外活動ユニット (EMU)宇宙服と船内与圧服(オレンジ色のスーツ)(参照9)があり、ロシアのオーラン宇宙服、中国の飛天宇宙服や海鷹宇宙服など色々な種類がありますが、NASAの船外活動用宇宙服に日本のファスナーメーカーの気密ファスナーが使われているのを知っていましたか?(参照10) そんなことを考えながら、展示されている船内与圧服を見るのも興味深いかも知れません。(JAXA借用品の展示は8月10日まで)
 しかし、最近では民間の会社が宇宙旅行ビジネスとしてロケットエンジンと飛行機を組み合わせて宇宙空間に行き弾道飛行と言われる地上約100kmを飛行し6分間程度無重力状態と景色を楽しむツアー(参照3)や本格的に国際宇宙ステーションに滞在する企画(参照11)があり、高額な料金ながら多くの人が予約しています。(当然、事前の訓練があります。)
 一方、新奇な宇宙輸送の技術として、1960年代にユーリイ・アルツターノフがエレベーター(当時は電車やケーブルカーと表現)のようにケーブルに沿って宇宙空間まで行くアイデアを旧ソビエト連邦で発表しています。(参照12)当時の技術レベルでは夢物語でしたが、SF作家のアーサー・C・クラークが宇宙エレベーター建設を題材とした「楽園の泉」を1979年に発表、同年チャールズ・シェフィールドが「星々にかける橋」をそれぞれ発表して、この新しい宇宙輸送技術が広く知られるようになりました。しかし、最大の困難であるケーブル(テザーとも言います)の材質に新しく発見されたカーボンナノチューブ(NECの飯島澄男博士、1991年)が適合できそうだと分かると建設の可能性が高まり、2000年にはNASAの依頼によりブラッドリー C エドワース博士が研究を開始し、一般向けの書籍として「宇宙旅行はエレベーターで」(邦訳)を出版しています。この書籍の中で実際の宇宙エレベーター建設には、地上36000kmの静止軌道上のステーションからテザー(テープやロープ状もの)を地表まで垂下して、地上(海上)の基地まで届かせるという壮大な計画ですが、当然現在の最新技術でも様々な難問があり、カーボンナノチューブも海底光ケーブルのように長く繋げることができていません。
 しかし、もし宇宙エレベーターが完成したら、寝台列車に乗っているように、数日間で宇宙空間まで昇りますので、激しい脱出速度の振動や加重、訓練が不要になり、誰でもが気軽に観光目的で宇宙に行けるようになります。また、他の惑星からの資源を地球に運ぶときも、惑星間はロケットで往復し、地上には宇宙エレベーターで下ろすなど経済効果は計り知れませんし、宇宙空間での太陽光発電の送電や惑星間旅行の中間駅までのエレベーターとして使用できるでしょう。
 日本でも早くからこの構想の実現に向けた啓発活動を一般社団法人宇宙エレベーター協会(参照13)が続けており、基礎技術の開発や諸データの収集を目的とした宇宙エレベーター技術競技会は毎年開催され、今年も地上から1.2kmに浮遊するバルーンから垂下されたテザーを自立型の昇降機で上昇と下降を競わせる実験的な競技が国内の大学や個人、高専などのチームが参加して開催されます。神奈川大学では、共催大学として支援をしているほか、工学部機械工学科の江上研究室が第1回大会から参加し、優勝を含め多くの賞を獲得していますので、その健闘の様子もパネルでご紹介しています。また、2013年度より簡易版ながら本格的な実験が可能な昇降機(SPIDER)をラジコンカーの改造により、誰でも簡単に製作できる方法を宇宙エレベーター協会が考案し、その簡易版昇降機のレース等も行われます。神奈川大学では、この簡易版昇降機(SPIDERの見本も展示中)の製作支援を高校などに行っていて、学内でのミニレース等も開催しています。(参照14)
宇宙に飛び出してみたい皆さん、現在と未来の宇宙輸送とその技術を展示会場でご覧下さい。

参考Webアドレス
1)http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/sputnik_2.html
2)http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/launch_manned_flight.html
3)http://www.club-t.com/space/main.htm
4)http://www.sed.co.jp/tokusyu/launch.html
5)http://www.isas.jaxa.jp/j/column/epsilon/04.shtml
6)http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/astronautical_velocity.html
7)http://iss.jaxa.jp/astro/shuttle_training.html
8)http://travel.willer.co.jp/dy/3/hotel/pc/mcourse/mcourseTourShosai/?hmMcourseId=412
9)http://iss.jaxa.jp/gallery/sp-museum/c03_fuku/
10)http://www.ykk.co.jp/japanese/ykk/here/0405_spacesuit.html
11)http://www.spaceadventures.com/
12)http://blog.goo.ne.jp/orbitalelevator/e/0633e732396403fa629f16606caeea13
13)http://jsea.jp/
14)http://space-ev.kanagawa-u.ac.jp/

展示の様子


1.JAXA関連の展示品は8月10日(土)までです!!


2.JAXA関連の展示品は8月10日(土)までです!!


3.宇宙ステーション補給機(こうのとり)


4.H-IIBRoketに 「こうのとり」が搭載されている


5.OrangeSuit与圧服(パンプキンスーツ)


6.OrangeSuit与圧服(パンプキンスーツ)


7.「こうのとり」をズーム


8.与圧服の細部


9.Kanagawa University,Space Climber-Ⅲ Rev.(KSC-Ⅲ Rev.)


10.Kanagawa University,Space Climber-Ⅲ Rev.(KSC-Ⅲ Rev.)


11.KSC-Ⅲ Rev.の詳細な解説


12.ラジコンカーをベースにしたお手軽クライマー(初級・中級者向け)


13.ラジコンカーをベースにしたお手軽クライマー(初級・中級者向け)


14.お手軽クライマーの解説


15.各種メディアに取り上げられた神大の宇宙エレベータープロジェクト


16.プロジェクトのエンブレム


17.宇宙エレベーターに関する資料も一部紹介


18.教科書や某有名マンガにも登場


19.SpaceShipTwo and White KnightⅡ VMS Eve 184th Scale


20.SpaceShipTwo and White KnightⅡ VMS Eve 184th Scale


21.展示会場全景


22.充実の解説パネル

展示期間

7月22日(月)~10月31日(木) 但しJAXA関連の展示品は8月10日(土)まで

会場

横浜図書館1階展示コーナー

お問い合わせ先

お問い合わせ先

神奈川大学工学部 宇宙エレベータープロジェクト(江上研究室)

電話番号

045-481-5661(代)

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