留学ガイドブック2025
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理系学生による留学 「留学の挑戦と成長」中南米へのスペイン語留学 「最初のアジア人」ハンガリーへの英語留学 「すべての瞬間が学びだった留学」 ケルン工科大学への留学は、私にとって大きな挑戦であり、成長と学びの機会となりました。 私は、神奈川大学の派遣交換留学生の中では珍しく、理系の大学院生としての留学でした。理系の大学院生が交換留学を行う場合には、留学中にも自身の研究活動を進める必要があり、留学生活との両立が非常に大変でしたが、事前準備の徹底と様々な人のサポートにより、最後まで問題なく両者を進めることが出来ました。現地では、英語で国際ビジネスを学び、英語力向上や国際ビジネスへの理解を深めることが出来ました。 生活面について、私が住んでいたボンという街では、日本人が少ない環境であったため、人間関係の構築などに戸惑いや不安もありましたが、良きルームメイトや友人との出会いにより、異文化への理解を深めることができました。ドイツの文化として、一番印象に残っているのは、クリスマスマーケットです。ドイツは、11月の下旬ごろからクリスマスまでの約1ヶ月間、全国の駅周辺で大規模なクリスマスマーケットが催されます。そこでは、大きなクリスマスツリー,綺麗なイルミネーション,小規模なアトラクションの整備や様々な屋台の出店がなされ、平日・週末問わず、とてもにぎわっていました。私自身も、クリスマスマーケットに何度も足を運び、日本にはない文化を体験することができました。 この留学経験を通して、英語力・マルチタスク遂行力・異文化コミュニケーション力 私は、日本人学生があまり行かないような土地、特に地理的に遠い場所へ行ってみたいと考えていました。その理由は、情報が少ない場所であればあるほど、自分の視野が広げられると考えたからです。 私が留学先に選んだのは、アルゼンチンのメンドーサという、ワインで有名な小さな町です。この町はアルゼンチン第四の都市ですが、日本人はおろか、アジア人の姿を見かけることもほとんどありません。そのため、在日アルゼンチン大使館でビザを申請した際、「メンドーサに派遣される日本人学生は初めて」と言われ、メンドーサ大学からも「初めてのアジア人留学生」として迎えられました。また、他国からの留学生はスペイン語圏出身者がほとんどで、文化も言語も自分とは全く異なる環境でした。大きな不安がありましたが、アルゼンチン人や他の留学生が助けてくれることも多く、結果としてメキシコ人留学生たちと特に親しくなりました。彼らとともにボリビアやチリ、アルゼンチン国内のコルドバなどを旅行し、アルゼンチン文化だけでなく、メキシコ文化にも触れる機会がありました。 しかし、皆さんもご存じの通り、アルゼンチンは決して裕福な国ではありません。留学当初、街並みや友人の装いからは貧困を感じることはありませんでしたが、ある時「お前が知っているアルゼンチン人は、友達やクラスメイトなどはみんな裕福な人たちだからそう感じないだけだ」と言われました。その後、街中で、親子で寒空の下野宿する人 私は、2024年の2月から6月までの1学期間、ハンガリーのエトヴェシュ・ロラーンド大学に留学していました。 「なぜハンガリーを選んだの?」という質問はよく聞かれます。私は元々外の世界に出てみたいという漠然とした留学への憧れがありました。留学を具体的に考えた際に、金銭面や語学力を考慮しつつも、せっかくなら有名で人気の国ではなく、マイナーな国に行ってみたいという気持ちがありました。そして、派遣交換留学のリストを見ていた際にハンガリーを発見し、調べてみるととても美しい国で面白い歴史背景があることを知り、ほぼ一目ぼれのような感覚でこの国に決めました。 留学では、体験したすべてのことが良い経験だったと感じています。留学中には、楽しいことはもちろん沢山ありましたが、つらい経験もしました。一番つらかったのは、カルチャーショックでした。最初にハンガリーに着いた時には、日本の風景とは全く異なり、とても不思議な感覚になったことを今でもはっきり覚えています。わかっていたことではありますが、このギャップに心がついていけず、渡航から1週間毎日泣く日々を過ごしていました。しかし、その後は「もう少し挑戦してみよう」という気持ちになり、積極的に行動できるようになりました。その結果、たくさんの面で成長できたと思います。まず、英語をツールとして使う力を身につけました。元々私が知っていた英語は学問的な意味合いが強かったですが、コミュニケーションツールとしての英語を理解ドイツ/ケルン工科大学 2023年秋派遣(2023年9月~2024年8月)アルゼンチン/メンドーサ大学 2024年春派遣(2024年3月~2024年12月)ハンガリー/エトヴェシュ・ロラーンド大学 2024年春派遣(2024年2月~2024年6月)など幅広いスキルを身につけることが出来ました。さらに、私自身がマイノリティの立場に立つことで、マイノリティの方々とのコミュニケーションの重要性を理解しました。これらの経験は、私の人生においてかけがえのないものであり、これからのキャリアや人間関係において役に立つ経験だと感じています。 留学には様々な困難が待ち受けていますが、それらを超える楽しい経験や成長機会が待っていますので、留学をしたいと考えている方はぜひ挑戦していただきたいです!や、「今日食べるものをください」と切実に物乞いをする人々を見かけ、貧困を身近に実感しました。 こうした経験はここに書ききれないほど多くありました。楽しいことももちろん多くありましたが、それでも「広い世界を自分の目で見る」という貴重な機会を得られたと感じています。旅行ではなく、留学して現地で生活したからこそ味わえた経験だと思います。少しでも興味があるなら、ぜひ一度自分の目でさまざまな国を見てみてほしいと思います。留学によって留年や周囲と違う道を進むことになるかもしれませんが、それでもかけがえのない経験になるでしょう。この表現が適切かどうかはわかりませんが、日本という国に生まれたことはとても恵まれていると思います。それだけ機会は多くあると思います。し、異なる母語を持つ人々との交流ができるようになりました。また、様々なバックグラウンドを持つ人々と交流したため、多様な価値観に出会いました。この経験で、「私の当たり前は世界の当たり前ではない」ということを学びました。この経験は、私の視野をとても広げてくれたように思えます。さらに、様々な文化に触れる中で、日本とはどのような国なのかという位置づけを外側から見ることができるようになりました。そして、日本独自の魅力をもっと世界に伝えたいという気持ちも芽生えてきました。 上記にもある通り、留学生活で経験したすべてのことが自身を成長させる糧になると思います。新しい環境に飛び込むことは勇気が必要かもしれませんが、そこで得られる経験や気づきは、一生の財産になるはずです。迷っているなら、ぜひ一歩を踏み出してみてください。五十貝 翼工学研究科博士前期課程 1年(2023年度)鎌田 心輝外国語学部スペイン語学科 4年(2024年度)叶内 彩花経営学部国際経営学科 3年(2024年度)13

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