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多様な友人との出会いが私の視野を広げ、現在のキャリアへと導いた。伊藤 侑希子さん/三菱地所プロパティマネジメント株式会社/埼玉県出身

多様な友人との出会いが私の視野を広げ、現在のキャリアへと導いた。伊藤 侑希子さん/三菱地所プロパティマネジメント株式会社/埼玉県出身

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友人たちからの刺激で視野が広がった学生時代

私、実は就職活動で大失敗しました。ある企業の面接に臨んだ際、「この会社は第一志望ではない」と正直に話して、面接官の方からお叱りを受けてしまったのです。考えてみれば、それはとても失礼な態度で、相手が気分を害するのももっともな話ですが、ショックで混乱した私は就職課に駆け込んで号泣。職員の方はそんな私を優しく受け止め、落ち着くまでじっくりと話を聞いてくれました。涙とともにいろんな思いを吐き出しているうちに、心がすっと軽くなり、次にチャレンジする意欲が湧いてきたのを覚えています。
以前の私は、何事も全部自分でやろうとし、行き詰まっても人に弱みを見せられず、ひとりで抱え込んでしまうような少し頑固な性格でした。でも、無意識に就職課を頼って以来、安心して相談できて、悩みも喜びも分かち合える存在があることを心強く感じ、無事内定を得た後は、学生キャリアサポーターとして後輩たちの就職活動を応援する手伝いをするようになりました。自分の経験を振り返りながら後輩に向けて話す中で改めて感じたのが、神奈川大学で出会った友人たちから受けた影響の大きさでした。
ある友人は、「学内だけの活動や交流では物足りない」と言って、他大学の学生と交流するイベントを幾度となく主催していました。私も会に招かれるうち、「所属する環境やグループにこだわる必要なんてない。もっとオープンな気持ちで人に接したら、視野はどんどん広がるものなんだ」と気付くことができました。
また別の友人は、普段は寡黙なのに、自身が専攻する自然科学の話題になると、目をキラキラさせて研究の面白さを語ってくれました。彼が言うには「“なぜ?”という疑問符をいつも心に持っていれば、普段は見過ごしている気付きがどんどん出てきて、何でも探究したくなる」と。普段は見逃している気付き、それが後に第一志望である現在の会社と仕事に直結するきっかけになりました。

普段は見過ごす風景の中に、未来に直結する気付きがあった

その気付きは、みなとみらいの街を歩いている時に突然訪れました。ふと横浜ランドマークタワーを見上げると、クリスマスシーズンにはきらびやかに輝いていたオフィスフロアの照明が消えていて、「いつも点いていたらいいのに」と残念に思うと同時に、疑問が頭に浮かびました。「なぜクリスマスには点いていたのだろう?」。逆に考えれば、全館の照明を点灯させて街を光り輝かせようと企画した人がいるということなのです。私は、誰がそんな素敵な演出を行っていたのか知りたくなり調べたところ、三菱地所という会社にたどり着きました。そして、『プロパティマネジメント』という業務が運用に関わっているのでは?と推察しました。プロパティマネジメントとは、オフィスビルや複合施設などの建物をオーナーからお預かりし、物件の価値を向上させるために運営管理を行う仕事です。収益面だけでなく、ビルに入居するテナントや来館者の方が安心・安全・快適に過ごせるよう、建物や設備の管理をし、サービス面での価値向上も担っています。私は高校時代からチアダンスを続けていて、頑張っている人を応援するチア精神に深い共感を抱いていました。大学で人間科学を専攻したのも、スポーツで頑張っている人をアスレチックトレーナーとして応援したいという夢があったから。「でも、スポーツをする人に限定しなくてもいいんじゃないか。さまざまな場所で暮らしたり働いたりして頑張っている、より多くの人たちを応援する方が、私には向いているかもしれない」と考えるようになりました。今思えば、学部での学びもその進路変更に影響していると思います。人間科学部では、スポーツや人体に関する学びはもとより、心の問題や社会的課題について幅広い視野を得ながら探究を進めていくことができました。フィールドワークで社会調査を行う授業にも参加しながら、誰かの応援を必要としている人は日常の中にたくさんいることを知りました。その視点が、横浜ランドマークタワーでの気付きとともに現在のキャリアに結び付いたのだと思います。

本質的な意味を問い直す中で見出した「地震ウィズコロナ」

現在は、建物管理業務に係る企画立案や、業務の平準化・効率化を推進する施設管理部に所属し、社内の各部署をサポートする業務に携わっています。その一つが、ビルの運営管理における、あらゆる事態に対応するための一定の指針・マニュアルの作成です。ビルを所有しているオーナーや、事務所・店舗テナント、警備や清掃、施設・設備のメンテナンスを行う協力会社など、多種多様なバックグラウンドを持つ方々と連携しながら業務を進める上で不可欠なものです。作成して満足するのではなく、その後も定期的に「指針やマニュアルが必要なのはどういう場面か? こういった事態が起きると想定したらどんな事前準備が必要か? 」など、各項目について本質的な意味から検証し、今の利用状況や社会情勢に応じてアップデートしていくことが求められます。
例えば最近では、コロナ禍における施設の衛生管理や対応策などの方針策定を行いました。幅広い領域にまたがる項目を一つひとつ精査する過程の中で、何かが不足しているような引っかかりを漠然と抱きながら業務を進めていました。とりあえずその日の作業を終えて帰宅し、自宅でニュースを見ながら何となく考えているうち、ふと思い至りました。「もしコロナ禍で地震が起こったとしたら!? 今のマニュアルでは感染リスクに適用できないのではないか」。地震発生直後、多数の管理物件を抱える東京駅周辺エリアでは、大勢の帰宅困難者が発生すると予想されます。水や電気といったインフラ機能が停止する可能性もあり、マスクなどの物資不足も考えられます。混乱が予想される中、どうすれば密を避けクラスターの発生を防止できるのか。その想定での行動マニュアルを作成しなければならないと気付いたのです。翌日、さっそく上司に相談したところ、早急に「地震ウィズコロナ」を想定したマニュアル改定を進めることになりました。
私はこの仕事を、たくさんの人の「よかったな」「うれしいな」という小さな幸せを作っていくことだと考えています。その小さな幸せが相乗効果を生み、ビルと街に関わるすべての人にポジティブな循環をもたらしていく。この仕事の先に誰かの幸せがある、それをモチベーションにこれからも暮らし働く人を応援し続けていきたいと思います。

※内容はすべて取材当時のものです。

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