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方向転換して進んだ先にも、確かな学びが生きている。柿野 大地さん/株式会社三井住友銀行/宮城県出身

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留学が気付かせてくれた、英語教員以外の道。

今、私は金融業界で働いていますが、学生の頃は「英語教員」という全く異なる将来を思い描いていました。毎年、夏休みにホストファミリーとして、アメリカからの留学生を自宅に迎えていた少年時代。彼らとの交流会で、流暢に英語を話す日本人の大学生を目にしたんです。そのかっこいい姿から語学への憧れを募らせ、高校の英語教員を志すようになりました。神奈川大学を選択したのは、充実した教職課程と留学制度に惹かれたことが一番の理由です。入学後、教員というキャリアに向かって一直線だった3年次に、母校の高校で教育実習をしたのですが、この時に、将来を見直し始めたのです。心を動かしたのは、指導教員からの「教員になる前に企業で働き、幅広い経験を積んでみては」という言葉。その予想外な言葉を耳にして以来、企業への就職も選択肢の一つとして、頭の片隅で意識するようになりました。この小さなきっかけから将来を大きく見つめ直したのは、大学4年次の7月から10カ月間、交換留学生として通った、アメリカのカンザス大学での経験です。もともとは英語教員になるための語学力・コミュニケーション能力の向上を目的とした交換留学でしたが、そこで履修した経済学の授業にすっかり魅了されたのです。
上場企業の株価を追い、業績を分析し、価格変動との相関性を議論するのですが、単なる授業のレベルを超え、ビジネスさながらに学ぶ時間はとても刺激的で、英語教員一筋だった私に、企業で働くという新たなキャリアの面白さに気付かせてくれました。交換留学を終える頃には「企業に就職したい」と、気持ちが大きく変わっていました。
帰国後、志望業界を検討する中で銀行員という仕事が思い浮かんだのは、父と祖父が自営業者で、銀行とのお付き合いが身近だったからです。大学の就職課にも相談したところ、個人の力で勝負し、アイデア次第でチャンスを広げられる金融業は、あなたに合っているのでは、と背中を押してもらえたことも理由の一つです。「自分の家族と同じように頑張っている企業を支えたい」という思いから、中小企業の事業拡大を支援している三井住友銀行で働くことを決意しました。

お金を扱うからこそ、すぐそばに寄り添える。

入行5年目の現在、法人営業として担当しているのは100社以上の中小・ベンチャー企業。顧客からの融資相談に応じたり、投資信託などの運用商品の提案が主な業務です。提案内容は資金の貸付にとどまらず、依頼があれば事業の売却や業務提携、さらに取引先や仕入れ先の紹介まで行うことも。グループ会社との連携によって、業務の枠を超えた提案も可能なのはメガバンクだからこその強みです。お金が絡む問題は大抵の場合、デリケートなもの。顧客の依頼に応えるため、個人的な事情にまで踏み込まなくてはいけないこともよくあります。だからこそ、まずは私個人に大きな信頼を寄せていただくことが肝心です。わずかな確認ミスが顧客の経営状況を左右する業務。迅速さと正確さが欠かせません。何度も顧客のもとに足を運び、何かに困ったら第一に私を頼りにしてもらえるよう地道に信頼関係を築いています。また、どんな依頼が舞い込んでもすぐに対応できるよう、各業界の知識や求められる商品など、膨大な量の情報を頭に入れ、入念に準備を整えています。なにしろ私が向き合うのは、企業経営者。対等に話ができるだけの知識を持っていなければ、金融の専門家としてアドバイスはできません。その上、顧客にとって金融用語は聞き慣れないものばかり。提案が受け入れられない大きな要因の一つは、十分な理解を得られず、その必要性を感じてもらえないことにあります。そこを乗り越えるため、難解な金融用語を極力分かりやすい言葉に置き換えるなど、「どうしたら理解を得られるか」を重視し、最大限の工夫を凝らすように努めています。対話の中で相手の理解を深めていくスキルは、模擬授業など教職課程で培ったもの。描いていた将来から方向転換して選んだこの仕事にも、大学時代の確かな学びが生きています。
自分の提案次第で、初期投資の資金が必要なベンチャー企業も、後継者不足に悩む老舗企業も支援することができる。お金という必要不可欠かつデリケートな部分に関わるからこそ、日々頑張っている人のすぐそばに寄り添い、支えられる。それがこの仕事の何よりのやりがいです。今は、幅広い業務に対応できるジェネラリストとして力を磨いていますが、これからは一つの分野に特化したスペシャリストになるべく、さらに成長していくことを目指しています。交換留学を契機に進む方向を大きく変えましたが、今振り返っても、あの決断に後悔はありません。学生の皆さんには大学時代のさまざまな経験の中で、周囲の環境や誰かの言葉を柔軟に受け入れながら、自分の意志で後悔のない選択をしてほしいと思います。

※内容はすべて取材当時のものです。

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