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迷っても、遠回りしても、無駄なことなんてない。小川 みなみさん/タイ国際航空/神奈川県出身

迷っても、遠回りしても、無駄なことなんてない。小川 みなみさん/タイ国際航空/神奈川県出身

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学生時代の憧れが、空の旅を契機に再燃。

「海外に関わる仕事がしたい」「チームで働くイベント運営もいいな」「営業や接客も面白そう」―大学時代の私は、多くの将来への希望を抱えながらも、具体的な一歩を踏み出すことなくゼミ活動に奮闘する日々を送っていました。私が所属していたのは日系企業の海外進出について研究する田中則仁先生のゼミ。このゼミは、パワフルなメンバーぞろいで、議論の激しさは折り紙付き。初めはそんな周囲の積極的な姿勢に気後れしていましたが、気付けば私も躊躇せず意見を言うことが当たり前になっていました。課題も毎回ハードで大変でしたが、今、多くの外国人の同僚の中で日本人クルーとして仕事ができるのは、ゼミでの経験があったからです。思い返せばタイとの出会いも、このゼミでの海外研修でした。建設が進むビル群、渋滞の喧騒。発展のエネルギーに満ちたバンコクの光景は今も脳裏に焼き付いています。
そんな私の就職活動のスタートは、3年次に友人に誘われて参加したエアライン講座の学内イベント。航空会社の内定を獲得した4年生の話を聞き、夢をかなえた先輩の輝く瞳に刺激を受けて「私も将来のために何か始めたい」と基礎講座への参加を決めました。最初の講義に現れた元客室乗務員の先生の凛とした姿に「先生みたいな女性になりたい」と憧れを抱いたことを覚えています。しかし、採用試験突破を目指す実践指導を受けるにつれ、私は航空業界で働くことのハードルの高さを思い知ったのです。何より、英語が苦手な私が客室乗務員を目指すには、全ての時間を語学学習に充てるくらいの覚悟がいる。まだ、航空業界一本で就職活動を進める決心すらついていないのに、ゼミとの両立はできるだろうか…。迷った末「まずは多くの世界を見て視野を広げたい」と考え、通信系の専門商社への就職を決めました。
社会人になった私を待っていたのは、顧客対応に追われる日々。それでも「小川さんだから契約したんだよ」とお客さまに声をかけてもらえると、どんな疲れも吹き飛びました。「お客さまとの信頼関係を築くにはコミュニケーションが何より大切」という今の私のモットーは、営業としてさまざまな業種や年齢層の方々と接する中で導き出されたもの。この経験は今の仕事にも生きています。
充実した毎日を送っていた社会人2年目、転機となったのは友人との旅行でした。旅先へのフライトで目にした客室乗務員の方々の笑顔と、心のこもったおもてなし。そのチームプレーに心をつかまれ、「やはりエアラインの仕事を目指したい」と学生時代の思いがよみがえって、すぐに転職活動を始めました。
客室乗務員の採用は狭き門。「情報を逃さず、助言をもらえる場が欲しい」と考えたときに浮かんだのが、大学のエアライン講座でお世話になった先生でした。仕事をしながら、その先生が講師を務めるエアラインスクールに通い、英会話の勉強もスタート。周囲が転職を応援してくれたこともあり、覚悟を決め、どこへ行くにもイヤホンを耳から離さずに英語漬けの毎日を送りました。タイ国際航空を受けてみようと考えたのは、スクールでタイ国際航空の客室乗務員として働くOGのお話を聞く機会があったから。その方の雰囲気と、伝わってくるチームの温かさに心惹かれたのです。ゼミの海外研修で訪れたタイに親しみを感じていたこともあり、それからは外資系航空会社を視野に入れて英語面接の対策を行い、転職活動を始めて約1年でタイ国際航空の内定を手にしました。
一度社会に出てからキャリアを方向転換する勇気を持てたのは、エアライン講座を通じて「なりたい自分」をイメージできていたからだと思います。夢を一つに絞れず迷った学生時代でしたが、そのときの手探りが、今の仕事との出会いをもたらしてくれました。

後輩たちが将来への視野を広げる、きっかけになりたい。

現在私は当社のハブ空港があるバンコクで暮らし、日本行きの便に乗務しながら日本とタイを往復しています。転職活動では語学に苦しみましたが、リスニングの力を鍛えたことは確実に業務に生きています。
例えば、機内で放送される機長の外国語でのあいさつや緊急時のアナウンスなどは、私が同時通訳をして日本語で伝えています。誤った到着時刻を伝えてしまうと、お客さまのご予定に支障をきたしかねません。語学は、安全なフライトを遂行する上で、客室乗務員である私の役割を果たす大切な道具なのです。入社時に求められた語学スキルは英語のみですが、今は「ありがとう」と笑顔を向けてくださる多くのタイ人のお客さまに応えるべく、休日を利用してタイ語の習得にも励んでいます。
大学時代にゼミでお世話になった田中先生は、ゼミ合宿を兼ねて学生の皆さんを伴い2年連続でバンコクにいる私を訪ねてくださいました。私がゼミやエアライン講座での経験から自分の道を見つけたように、後輩たちがバンコクでのひとときを通じて将来への視野を広げてくれたら、こんなにうれしいことはありません。エアラインの世界を目指す学生には、新卒で内定が取れずに落ち込む方も多いと聞きます。でもこのエアライン業界は、履歴書に他業種での職歴や空白があっても、そこで得た力をアピールすれば“今の自分”を見て評価してもらえる業界だと私は思います。遠回りしても客室乗務員になれる。営業職を経てこの仕事に就いたことこそ自分の強みだと感じています。私の言葉が、この記事を読んでいる皆さんの心に届きますように。

※内容はすべて取材当時のものです。

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