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多彩な世界に触れたからこそ、まっすぐに進み続けられた。宮下 有花さん/警視庁 調布警察署/神奈川県出身

多彩な世界に触れたからこそ、まっすぐに進み続けられた。宮下 有花さん/警視庁 調布警察署/神奈川県出身

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存分に視野を広げながら、固めた警察官への志。

中学時代、毎年観戦していた箱根駅伝でふと目に付いたのが選手を先導する白バイ隊員。「かっこいい!」この憧れが、警察官という職業に興味を持ったきっかけでした。当時は、「危険運転」という言葉がクローズアップされ始めた頃であり、ニュースで悲惨な交通事故・事件の報道を聞くたびに「このような事故が無くなればいいのに」と強い憤りを感じていたのも理由の一つです。高校3年次に、本格的に進路について考える中で、警察の中に交通事故を専門に扱う「交通捜査係」があることを知ってからは、警察官として、安全な交通社会を実現したいと思うようになりました。
進学先も、警察官になる夢をかなえるため、地方行政などを学べる大学を候補に。そして、総合大学であれば、多種多様な人との出会いや経験により自分の視野や見識がより広がるのではと考え、神奈川大学を選びました。まさに、そのような経験ができたのが、大学3年次から参加した国際法ゼミ。貧困や人身売買など、国際問題をテーマとする法学部のゼミでしたが、英語英文学科や経済学科などの学生も多く参加していたので、ディスカッションではさまざまな視点から飛び交う意見に、刺激を受ける日々でした。また、ゼミのスタディツアーで訪れたイランでの経験も印象に残っています。言語の壁を越えた現地の人々との交流を通し、存在さえも知らなかった世界の諸問題を知りました。そのような状況下に生きる人たちの援助活動も経験することで、「誰かを守る仕事がしたい」という思いはいっそう強まり、警察官への志は揺るぎないものになっていきました。それでも、警察官採用試験の勉強には本当に苦労しました。試験範囲がとにかく広く、人生で一番勉強したと言っても過言ではありません。その努力が実を結び、4年次9月、警視庁に無事に合格。警察学校での厳しい訓練も乗り越え、ついに、念願かなって希望していた交通捜査係に配属となりました。
交通捜査係が担当するのは、主に「被害者」がいる交通事故・事件の捜査です。一報を受けて現場に出動し、まずは飛び散った自動車の破片やブレーキ痕など、証拠となる痕跡を探して事故の全容解明に向けた筋道を立てていく。現場の証拠採取や周囲への聞き取りなど、捜査の方針や段取りは個々の捜査員に委ねられます。事故現場から真相を見つけ出し、被疑者に何らかの刑事処罰が下されるまでの全ての過程を担当できて、ようやく交通捜査係員として一人前となります。しかし、捜査は簡単に進められるものではありません。事故現場は時間との勝負。残された物的証拠は天候の変化や時間の経過とともに消えてしまいますし、交通規制を伴う捜査の場合は、長引くほど通行者に多大な迷惑がかかります。そんなプレッシャーから、初めて大きな事故を担当したときは、捜査の筋道を全く立てられず、30分程度で終えるはずの捜査に3時間近くかけてしまいました。この仕事の難しさを痛感し、とても悔しい思いをするのと同時に、とにかく経験を重ねて成長するしかないと覚悟も決まった、忘れられない一件です。
突然の震災で企業の採用活動は一時中断。連日テレビで流れる凄惨な被害状況に強い衝撃を受け、「これからどうなってしまうのだろう」と不安な気持ちを抱えながら、将来についてさまざまな思いを巡らせていました。電気や水道などライフラインが止まり、道路・鉄道といった産業基盤が崩壊していく様子を見て、改めて気付かされた社会インフラ設備の重要性。それが、大学で学んだ分野とは異なるプラント業界に興味を持ったきっかけでした。就職活動を再開した私は、情報収集から始めました。就職情報サイトを使ってプラント業界にはどのような企業があるのかを調べ、会社説明会に参加し、企業研究を進めていきました。そうした中で、「機械系エンジニア」の募集枠があることを知り、専門分野とは違いましたが工学部の学びで培った力も生かせるのではないかと思い、就職先の候補にしました。
徐々に企業も採用活動を再開し始めた頃、まずは書類選考を突破する対策を練ろうと思い立って、父に応募書類を添削してもらったのですが、これは効果がありました。私の長所も短所もよく知っている父だからこその容赦ない欠点の洗い出しと的確なアドバイス。自分の考えや思いが伝わる丁寧な書き方を徹底されたのです。その甲斐あって、その後は選考を順調に通過することができました。

当事者全員に寄り添いながら、真相を明らかにする。

警察官になる夢をかなえた今、全ての人の気持ちに寄り添い、その痛みが分かる警察官でありたいと思うようになりました。大学時代に多くの人と関わったこともあり、もともと初対面の人と話すことに苦手意識はありませんでしたが、事故現場では被害者はもちろんのこと、加害者もショックで気が動転していることがほとんど。捜査のためとはいえ、無理に話を聞こうとしても、冷静に会話ができる人はほとんどいません。警察官として被害者の痛みや怒りを受け止めるのは当然として、加害者も含めた当事者全員の気持ちに配慮したコミュニケーションが、事故の真相に近づく第一歩だと考えています。また、交通事故の多くは、些細な不注意が引き起こすもの。事務処理だけで終わらせず、同じ事故を繰り返さないための指導を行うことも、警察官の欠かせない任務です。現場で混乱している当事者に、こちらの言葉に耳を傾けてもらうためにも、まずは相手の思いに寄り添うことが何よりも大切だと感じています。
時には直視をためらうほど悲惨な事故現場に立ち会い、自分自身の気持ちが追い付かなくなることもあります。そんな過酷な捜査の励みになっているのは、事件が解決したときの達成感と、当事者の方から「ありがとう、担当の警察官があなたで良かった」と感謝の言葉をかけていただける喜び。ちょうど先日、事件で関わった子どもから「将来、お姉さんみたいな警察官になりたい!」と言われたときは、私がやってきたことが報われたと思いましたし、自信を持って現場に立ち続ける勇気が湧き上がりました。
将来的には、より重大な交通死亡事故やひき逃げ事件を担当する「交通鑑識」という部署に入ることを目指しています。そこに集まっているのは、豊富な知識を持つ交通捜査のスペシャリスト。その一員となるためにも、今は多くの現場経験を通して真相を見抜く力を養いながら、さまざまな事件や事故を解決し、誰かのための力になっていきたいと思います。

※内容はすべて取材当時のものです。

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