学長からのご挨拶

神奈川大学は、1928年(昭和3年)に横浜学院として創立され、翌年に旧制の専門学校に移行・昇格した横浜専門学校を母体としています。第二次世界大戦前において旧制の専門学校は大学とならぶ高等教育機関でしたが、とくに横浜専門学校は法学・商学系と工学系という文・理双方の系を有する総合専門学校として特別な地位をもっていました。
1949年(昭和24年)、戦後の学制改革により、新制の神奈川大学に移行し、現在に至っています。一昨年で80周年を迎えました。これまでに20万余の卒業生を送り出し、戦前・戦後の日本の政治・経済・文化の発展に大きく貢献してきました。現在は、2006年度に新設した人間科学部人間科学科、外国語学部に増設した国際文化交流学科など10学部23学科、さらに大学院として2009年度に新設した人間科学研究科など9研究科(法務研究科<法科大学院>を含む)16専攻を擁する総合大学として、日本の私立大学の中にあって確固とした地位を築いています。
本学は、「質実剛健・積極進取・中正堅実」の建学の精神をもとにして、2000年(平成12年)に新しい時代に対応した基本理念を次のように定めました。「新しい国際化と情報化の時代において、語るべきテーマを持ち、語り得る自己表現力を備え、各学部・学科で履修する専門的学芸によって自分自身の現在と未来を築きつつ、ひろく人類と国際社会の発展に貢献することの出来る、創造的な人間を育成する」
この新しい基本理念を教育面において具現化するために、さまざまな改革を行ってきましたが、2006年度には「学問を内容とする授業科目」を中核として、これに大学における学びへの導入を図る「ファースト・イヤー・セミナー (FYS)」(1年生対象)と、自分の進路をしっかり見定め、学んだものを社会で活用できる力を育てる「キャリア形成科目」を加えた、三位一体の教育体制を確立しました。このシステムは、今日、喧伝されている、大学入学者の「学力問題」や卒業生の「ニート」現象に対応したものであることは言うまでもありません。また、本学は「語学の神大」として、伝統的に英語教育に力を注いで来ましたが、これをさらに徹底させるべく、横浜キャンパスの全学生が入学時、及び 1、2年次の終了時の3回、TOEIC®IP 試験を受けることができる体制をつくりました。さらに、こうした正課の改革と共に、キャンパス内に行政書士講座や税理士講座など多数の資格取得講座を開講し、学生の就職支援の態勢を一層充実させました。このような、学生の視点にたった、本学の教育面における取り組みの姿勢を端的に表現したものが、「約束します、成長力。―成長支援第一主義―」というコンセプトです。
また、本学は「教育と研究の融合」の理念のもと、8つの研究所を設置して、大学院博士課程とともに、研究面においても活発な活動を行っています。その成果は、例えば、日本常民文化研究所と歴史民俗資料学研究科・外国語学研究科中国言語文化専攻を中心とした「人類文化研究のための非文字資料の体系化」の研究プロジェクトが「21世紀COEプログラム」—文部科学省が「世界最高水準の研究教育拠点」を形成するために選定した国家的事業—に採択されたことなどに現れています(2003年度~2007年度)。
さらに、研究成果を社会へ還元すべく産官学連携推進課を設置して活動を行っています。例えば、田嶋和夫特別招聘教授を中心とする研究プロジェクト「スーパー・エマルション燃料の開発」は地球環境に優しい「夢の燃料」を現実化するものとして、多くの新聞・テレビでも報道されました。さらに、研究の成果を地域社会に還元するために、大学のキャンパスとみなとみらい21地区に開設された「神奈川大学みなとみらいエクステンションセンター」で各種公開講座を開講し、市民・社会人の生涯学習の場を提供しています。
このように、神奈川大学は「学生の教育」、「研究の深化」、「社会貢献」という21世紀の大学に課せられた使命を不断の努力によって果たそうとしています。
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